10月2日(金)~3日(土)一泊二日、唐松岳-不帰ノ嶮山行報告1日目その2、不帰ノ嶮偵察編。
唐松山荘に到着して、しばらくのんびりした後、いくらか荷物を整理。
空身ではなく、レインウェアや防寒具、非常食、飲料水はザックにいれたまま。
13時30分、翌日の不帰ノ嶮行きに備えて「偵察」に出る。
宿泊受け付け一番乗りしたため、夕食は16時。こんなに早い時間指定は初めて(^^;)
コロナ対策で一度の食事の人数を少なく設定したため、夕食時間を前倒ししたのだろうか。。。
ともかく16時前にもどってくることを頭において出発。
唐松山荘を振り返る。
ハイマツの緑に調和した山荘の色と、この構図はけっこうお気に入り。
13時45分:山頂に到着するころ、ちょうどヘリコプターも滑落現場に到着したもよう。
ヘリコプターはおそらく状況確認が主目的で、わりと短い時間で引き上げていった。
滑落者の所在確認など比較的スムーズにできて目的を終えたのだろう。
いきなり苦手なザレた下り。歩幅を小さくして慎重に降りていく。
唐松岳頂上よりの不帰ノ嶮3峰は、頂は踏まず、黒部側をトラバース。
この辺も滑りやすい砂地で、それなりの傾斜地。
うっかり滑ってこけたりするとどこまで落ちるかわからない。
写真左手の天狗の大下り(唐松側からは上り)へと至る稜線がはっきりと見通せる
この2峰南峰へ登る途中で、後ろから登山者が近づいていることに気づく。
このときすでの14時過ぎで、白馬方面へと縦走する時間帯ではないので、訝しむ。
この少し前に、白馬方面からやってきた大柄な欧米人の方とすれちがった。
その後、この欧米人登山者に後ろから接近してくる方が話しかける。
で、よく見ると、唐松山荘の主人だった。
山荘内や周辺では足元もややおぼつかなさそうなお年寄りに見えたのだが、
その登って来る姿はしっかりとした足取りで、自分よりもペースは早く、頼もしそう。
南峰手前で道を譲る。その際、
主人:「この先通り抜けないですよね?」
自分:「はい」
主人:「今から救助のヘリコプターが入りますから」
と会話を交わす。
14時30分、不帰ノ嶮2峰南峰到着。
ここから見下ろす不帰ノ嶮2峰北峰を中心とした稜線が素敵だった。
規模感的に北穂高小屋から見下ろす大キレットまではいかないけど、
この鋭さは痺れる眺めだった。
上から、先ほど救助に向かった山荘の主人が北峰に進むのが見え、
北峰からこちらへ向かってくる単独行の方も見えた。
すれ違い際に立ち止まって会話をしている。
その雰囲気から、この単独行の方が滑落の第一報を入れた方なんだろうなと伺えた。
時間的にそろそろ折り返し点になっていること、
北峰に近づきすぎると、救助の邪魔になりかねないこと、
今見下ろしている素敵な稜線に立っておきたいという気持ち、
いろいろ考えながら、南峰を降りて少しだけ進むことにする。
先ほど山荘主人と会話を交わしていた単独行の方とすれ違い挨拶を交わし、
もう少し進んだ腰のおろせるところでザックを降ろし小休憩。
山荘主人は、ちょうど北峰の頂を越えていくところだった。
遠目に見てルートがわからなかったので、翌日の参考にと注視。
(翌日接近して見るとマーカーもあり、ルートを明瞭でした)
小腹が減ったが、山荘にもどるとすぐ夕食なので、
非常食&ビールのつまみのナッツ類を取り出し口にする。
南峰から北峰へ至る稜線は、上からは切れ落ちているように見えたが、
実際足を下ろすと左右の傾斜はそれほどではなく、高度感を感じることもなく、
ザレてもいなかったので、むしろこのルートの中では安心して歩ける区間だった。
5分ほどの休憩で、初日の偵察山行を終え、引き返す。
北峰までは危険な岩場はないが、足元が不安定なザレ場が多いということを自分の目と足で確かめることができた。
2峰から3峰へ
北峰手前ですれ違った単独行の方が先行。しばらく先で追いつき追い越し、
また挨拶を交わす。
3峰のトラバースの砂地がやはり嫌な感じで、一度ずるっと足を滑らせバランスをくずした。
15時40分:唐松岳山頂到着
この10分ほど前に滑落者救助のヘリコプターがやってきており、救出を終えたのか、
ちょうど自分が山頂に到着したころ、ヘリコプターは山頂の周りをぐるりと飛んだ。
(このときは滑落者の無事を祈るばかり)
救助ヘリは唐松岳頂上山荘の上空を飛んで、その後、大町方面へ降りていった
夕食の時間も迫っていっるので、頂上から山荘へ向かう。
唐松山荘から五竜岳へと向かう縦走路も素敵。
夕食後、しばらく寝床でのんびり過ごす。
日が沈むころカメラを持って外に出る。
唐松山荘下にテント場があるが、さらにその下方へと雲海が流れ込む
素敵な夕景だった
日が落ち、焼けもおさまったころ宿にもどる。
宿に入って正面に、ザックが一つ残ったまま。
そこは山頂に行く宿泊者がザックをデポしておくところなのだが、
夕食を終える時間になってもその一つだけは取り残されていた。
救助からもどった山荘の主人が自分も含め周囲にいた方に、
「このザックはそちらのものではないですか?」
と声をかけるが、誰のものでもない。
山荘の主人は、ぼそっと、
「今日滑落した方のものかな」
とつぶやく。
「滑落した方は無事だったんですか?」と尋ねると、
「意識もあり、すぐに病院に運ばれたので大丈夫でしょう」との返答。
それを聞いて一安心。
「ごくろうさまでした」と感謝の気持ちを伝える。
最後の夕食の時間が終わり、食堂が空いたころ、
ビールを買って、ナッツのつまみで飲む。
暖炉に火が入り、食堂内は暖かい。
ビールを飲み終え、歯を磨いて、就寝。
唐松岳ではインナーシーツの使用を推奨されたが、
感染予防のために、それはそれであったほうがよいのだろうが、
それよりも、息苦しくならないようなタオルで自分の鼻と口を覆い、
布団や毛布との直接接触を避けることのほうが大切かなと思えた。
これはコロナの流行時に関わらず、清潔好きの方には良いアイデアでは。
(ちなみに自分はそれほどこだわらないほうなので今回限りかも。^^;)
以下、2日目不帰ノ嶮ピストン編へ続きます。。。